「アカウントを作成する」のアカウントの意味を深掘りしてみた

アカウントの本来の意味は『口座』

 実生活上では、きちんと調べて理解しないとやらないようなことを、ネット上では、なんとなく始めてしまうって、あるように思います。

 「アカウントを持つ」というのが、そのひとつです。ネット上では、「みんなわかっているよね」みたいな雰囲気になっていて、普通に遭遇しますよね。でもこのカタカナ言葉の使い方には、私的には、ちょいと違和感を覚えます。

 英語の”account”には、口座という意味がありますから、アカウントを登録するというのは、お堅い表現で日本語にするなら、「口座を持つ」ということです。

 そう言われても「ん?」と思われる方が多いはずです。そこでこの投稿では、「アカウントを持つ」ことに含まれている意味を詳しく説明します。

★ アカウント登録と利用登録とは違う?

 英語の”account”という言葉には、取引するというニュアンスがあります。日本語の口座と同じなのです。

 でも、FacebookやTwitterなどのSNSでは、運営会社と「取引するワケではないし・・・」と、思いますヨね?ほとんどの方はそう思うはずです。

 ところが違うのです。

 FacebookにもTwitterにも、そしてGoogleにも、有料のサービス(広告など)が用意されていて、手続きを踏めば誰でも使い始めることができるようになっているのです。

 余談になりますが、特にGoogleの場合には、ネット上でさまざまなサービスを提供しているため、それらを使い始める度に新しいアカウントを作成してしまい、その結果、本来連携されるべき機能が、そうはならずに、何が何だかわからない状態になってしまう方が多いようです。

 銀行に口座を持つ場合には、ひとつの銀行にたくさんの口座を持つなんて面倒なことはしませんよね?でも、ネット上はそれをやってしまう方が、特に私の年代に近い方々にとても多いようです。

 以上を異文化スタイル風にまとめると、海外(英語文化圏)では以下のようになります:

欧米人達は、ネット上のさまざまなサービスに登録するのも、リアルの銀行口座を持つのも、同じ感覚でアカウントの登録をしている。

 ネット上のサービスで「アカウントを作成する」というのは「口座の開設」と同じ意味です。このことを知っておくと、登録の際にもう少し慎重になるはずだと思います。

メールアカウントの場合のアカウントは、どうなの?

 Googleの場合は、Gmailもあるために尚更わかりにくい、という面はあるように思います(詳しくは、GoogleアカウントとGmailアドレスの違い』)。

 話は少し飛躍しますが、日本語の口座という言葉は、何も銀行口座という場合だけではなくて、ビジネスシーンでもよく出てくる言葉です。

銀行の建物正面の写真
銀行口座の口座もアカウント

 会社間での取引関係があることを「口座がある」と表現したりします。これは、経理を学んで帳簿のイメージがある人には、すぐに理解できる言い方だと思いますが、要は継続的な取引をするために必要な記録が記載される場所が、帳簿上に確保されていること、それが口座(アカウント)があるということです。

 メールアカウントも、これと同じイメージです。会社名はアカウント名(@の前の文字列)、帳簿をメールサーバー(@の後ろの文字列)と置き換えてみれば、分かりやすいと思います。

 このように、メール『アカウント』の登録というときは、サーバーに自分の場所を確保することで、そうすることによって使えるようになるのが、メール『アドレス』(@以下の文字列も含む)です。

 ところで以前は、インターネット接続業者と契約する際に、最初に決めることのひとつがメールのアカウント名でした。@の前の部分だけを指してアカウント名となっていることに注意しないと、ワケがわからなくなるのですが、そんな経験はないでしょうか?

 できあがったメールアドレスは、世界にひとつしかありませんので、それを名前の代わりのID(銀行でいえば口座番号)として、さまざまなネット上のサービスのアカウントの登録に使うようになっているワケですね。

日本語のアカウントと、英語のaccountとでは、使い方が異なる?

 日本語に対応する言葉がないために、カタカナ言葉にして使うというのはよくあることですが、「アカウント」の場合には、どうやらあてはまらないようです。

 そうはいっても、SNSのような趣味で使うようなサービスで、いきなり「口座を開設しますか?」と聞かれてしまっては、ドン引きしてしまいますよね?

 こうした背景があって、”account”をそのままカタカナにして使うことが一般的になった、ということだと思います。

 そうすると、ネット上で提供されている、日本のサービスはどうなっているかというと?

 なんだか、そのあたりはぼんやりとさせておこう的な雰囲気が、漂っています。「ユーザ登録」なんだけど、有料サービスも含まれている、みたいな(笑)

 というわけで、アカウントという言葉の使い方にも、雰囲気を大切にする日本と、明確性を大切にする英語圏という違いが出ていると考えると、オモシロイですよね?
 

余談になりますが…

 アカウントの意味を権利だと説明しているサイト(例:ウィキペディア)を見かけますが、権利には当然のことながら、義務が漏れなくついてきます。

 その義務のひとつとして、ネット上で重要なのは、パスワードの管理だと私は考えています。不用意な使い方をしていると、周りに迷惑をかけることになりかねません。詳しくは、『パスワードはどこから流出するのかを、考えてみた』を参考にして下さい。

 また、口座を持つということは、記録がついて回るという理解も必要なのではないかと、私は考えています。

 最近また、バイトテロ動画が話題になっていますが、 中には若気の至りでは済まされないようなものもあるようで、ちょいと残念です。

 インターネット上で提供されているさまざまなサービスは、機材さえあれば気軽に使えるのがいいところですが、逆に「あまりに無頓着すぎないか?」と思ってしまうことがあるのは、私の年代だからでしょうか?

 インターネットが、誰もが気軽に使えるようなツールになるには、まだまだ考えるべきことがたくさんありそうですね。

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