「日本政府は遅い」という前に、知っておくべき事

 先日、国会での手続きが完了して特別定額給付金(10万円)の支給が、正式に決まりました。

 手続きは各自治体で行いますので、自治体職員の方はさぞ大変だと思います。住民ひとりひとりについて、漏れや重複がないように、本人確認をして現金を振り込む体勢を整えなければならないからです。

 しかももう既に、役所に出向いたり電話で問い合わせをする人が出始めているとのことですから、対応に追われていることは想像に難くありません。

 ま、ネットの時代が来たといっても現実の世の中はそんなもんということなのでしょうが、役所に直接問い合わせる方であれば、少なくとも詐欺に騙されることはなさそうではあります。

 テレビ報道をながめていると、海外に比べて給付まで時間がかかりすぎているという論調が目立ちます。でも、僕はそんなふうには思っていません。

 僕はアメリカのことしか知らないですが、社会の仕組みが全く異なるのに、アメリカではもうとっくに市民の手に届いているみたいなことを耳にすると「この人、アメリカの事情をきちんと理解してそんなコメントをしているのか?」と感じてしまいます。

 知らないのであれば、「ああ勘違い」ですし、知っていてコメントしているのであれば、単なる「煽り」ではないでしょうか?

アメリカでは、何事も小切手を使った支払いが基本だった

救済策の小切手の発送開始のニュース

 小切手(check)を切る経験を持っている日本人は、留学や駐在の経験がある人達だけでしょう。会社経営をされている方でも、日本では、個人で当座預金の口座を持っている方はそんなに多くないと思います。

 でもアメリカでは、ほぼ全員持っているといっても言い過ぎではないと思います。私も持った経験があります。クレジットカードをつくるよりも小切手を振り出すための当座預金を作るほうが簡単(ほぼ審査がない)で、通常は普通口座とセットにして銀行口座を開設します。

 ということで、アメリカでは国からの支給も小切手が送られてくるのが、いってみれば昔ながらの基本形です(現在は、申込み時点で銀行振込を選択できるようになっているとのことです)。

 で、小切手の送り先の住所はどうして国側が知っているかというと、それはアメリカでは確定申告が義務で、社会保障番号(SSN)または納税者番号で管理されているからだと、僕は理解しています。

 ちなみに、日本のマイナンバーは、アメリカの仕組みを目指したものだと思っていましたが、今になって、カードを申請する人が急増しているのだそうな。

 まさか、こんなことでマイナンバーの便利さを実感することになるとは、僕も含めてですが、思っていませんでしたよね?

アメリカでは日本の年末調整に該当する手続きを自分でやらなければならない

 背景にあるのは、アメリカ社会での納税の仕組みです。アメリカでは、会社勤めのサラリーマンであっても、確定申告をしなければならないのです。

普通郵便で送られているようですね!

 このため、日本の国税庁にあたる役所(歳入庁)には、個人のデータが揃っているため、今回のような状況に対応するのは、そう難しいことではないはずなのです。

 逆にいうと、日本では普段から、個人が納税などで国と直接お金をやり取りすることは、しなくても良いようになっていたことが、決定的に違う訳ですね。

 あ、そうは言っても、ここでもやはり一長一短。

 アメリカの報道を見ていると、郵送中の小切手を盗んで捕まった人がいるようですし、この方式では、アメリカ国内にはとても多い不法移民なんかにも届かないようです。

 新型ウィルスの影響を最も受けやすいと思われている人達に届かないというのは、なんとも不条理ではあります。

 ということで、「海外はこれこれだから日本も」という聞き心地のよい報道には、くれぐれもご注意をという話題でした。

 その程度の報道に乗せられてイライラしている方がもしいらっしゃれば、それ、メチャクチャ損ですからね😉

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