インターネットを広告の場だと捉えている人が、いまだに多いと思います。私の年代に近くなればなるほど、その傾向が強い。

もちろん純粋な広告スペースもありますから、そこの部分だけを広告の場と捉えるならそれは僕も異論はありませんが、自ら発信するウェブサイトをテレビやラジオ、新聞広告などの代わりになるものであると考えてしまうことには、これはキッパリと反対です。そういう時期もありましたが、遙か昔のハナシです。ソーシャルメディアも同じ。こちらのほうは、私の年代では使っている人の割合が低くなるからでしょう、お若い方々にも、広告スペースだと思って仕事に使っている方が目立つように思います。

アメリカでは、個人事業主やフリーランサー、士業の方々などの多くが自らをマーケターでもあると考えて、情報を発信しています。ネット上でよく見かけるこうした人達に共通しているのは、自分の得意分野に関連する役立ち情報を惜しみなく発信していることですが、長い間フォローしていて気がついたことがあります。それは、「自分はこういう仕事ができます」というよりは「自分はこういう人です」ということが、伝わってくるということです。

そんなふうにインターネットをながめてみると、宣伝広告の場というよりは、自己表現の場としてみえてきます。特にライブの動画配信が広まり始めてからは、強くそれを感じます。ソーシャルメディアも、自己表現する人達同志でどんどんと繋がって下さいという方向で、使い勝手や機能が拡充されているようです。

ソーシャルメディアが広まり始めた頃、日本では匿名を使う場だと理解されてしまいました。本来の自分ではないキャラづくりで楽しんだ方も多かったと思いますが、そうした使い方は、今後は次第にやりにくくなっていくはずです。そういえば、リア充投稿をするために、友達をレンタルする人がいるというニュースを目にしたことがあります。別に悪いことだとは思いませんが、でもなんだかそこまでいくと、仕事としてキャラを作っている芸能人みたいな感じです。本来の自分ではない作り上げたキャラで居続けるというのは、相当にストレス満載な仕事なはずです。

似たようなことは、アメリカでもあるようです。インターネットを活用したマーケティングを専門にしているプロの人達は、”Be YOU(自分自身でいなさい)”と、まるでキーワードのように何度も繰り返して語っています。これは、他人と比較するなとか他人のようになろうとするなという意味ですが、アメリカのマーケター達、特にインフルエンサー(影響力のある人)と呼ばれている人達の話を聞いていると、彼らは、自分を表現してきたことで今の自分があると確信していると感じます。最初はビジネス云々ではなく先が見えないままで、ひたすらブログを書き続けたとか、ポッドキャストで配信しつづけてきたとか、それぞれに自分なりの経験談を機会がある度に語ってくれます。

少々強引なまとめ方になるかもしれませんが、そうした彼らの経験談に共通しているのは、自分の考えなりを発信し続ける→仲間ができその輪が広がる→その輪を通じて仕事になった、ということです。この部分こそが、ネット・マーケティングの基本の基だと、私は考えています。

これに対して、インターネットマーケティングに関する情報には、即効性を謳ったテクニック的なものもたくさん公開されています。そうした情報を、基本の基を抜きに受け入れてしまうから、インターネットがあたかも無料の広告媒体のように見えたり、情報発信を始めるとすぐに事業になるかのような誤解が生じてしまうのではないかなと、そんなふうに思います。