Apple社のイベントと「我がままであれ」

ジョブズ氏の肉声で始まった、今年のイベント

 昨日の Apple社のイベントは、動画を観た人も多いのではないでしょうか。

 私は、ライブ配信で見ていましたが、Beatles の”All you need is love “をバックミュージックに、晴れ晴れとした表情の人々が会場に向かう姿がまず印象的でした。そして暫くの沈黙のあとに流れてきたのは、なんと故スティーブ・ジョブズ氏の肉声。生前に、社員達に向けて話したもののようです。

“So we need to be true to who we are and remember what’s really important to us.  That’s what gonna keep Apple to happen. That keeps us us.”

 「(社員ひとりひとりが)自分自身でいることが、Apple の Appleたる所以である」みたいな感じですが、こうなるともう、目を離すことはできません。2時間近いビデオでしたが、仕事をそっちのけで最後までいっきに観てしまいました。

 このイベントは毎年の恒例となりましたが、今年はいつになく、「なぜ自分たちはこうしているのか」のかに重きが置かれている印象でした。

 完成した Steve Jobs Theater のこけら落としという意味もあるのだろうぐらいに思いながら、新製品の紹介を眺めていたのですが、最後の iPhone X (テン)が紹介されて、意味がようやくわかりました。

 今年は、Apple がスマートフォンという新しい概念の製品を世に送り出して10年になるのだそうな。そして次の10年に向けてApple社が世の中に問う製品として紹介されたのが、 iPhone X(テン) だったのです。

 何が新しいかというと、なんとユーザの顔を認識する機能が実装されているといいます。スマホを使うときって、持ち上げて自分の顔にスマホを向けるのが自然な行動ですよね?

 そうすると、iPhone X は、自動的に認識機能が働いて本人かどうかを確認します。しかも、暗がりであろうと、帽子をかぶろうと眼鏡をかけようと、ちゃんと本人を認識するとのこと。もちろん写真で誤魔化すなんてきとはできません。

 まさに顔パスですが、そんな機能が、スマホの中に収まってしまったのですね。

Apple 2017 イベント録画へのリンク
2017 Apple Event動画へのリンク

気持ちや感情までオープンにできるか?

 ところで、私が Steve Jobs 氏の大ファンになったのは、Walter Isaacson 氏による伝記を読んでからです。出版されてしばらく経ちますが、今でも車での移動中に、CDで繰り返し聞いています。

 そんなこともあって、流れてくる映像を眺めながらも、冒頭のジョブズしの言葉が、私の心のどこかで反芻されていたようです。

 彼自身は、何をもって「自分自身である」と考えていたのでしょうかね?

 真の自分であることって、考え始めると、これがとてつもなく難しいことです。コーチを前に話してみても、これが正解と思えることは、そう簡単に出てきませんし、また、正しいと思ったこともその時々で変わっていくものだと思います。

 そんなことをぼんやりと考えながら見ていたのでしょう。ライブ配信の終了間際になって、ジョブズ氏の言う自分自身でいることの鍵は、オープンさではないか、という考えがふと思い浮かびました。

 実は、Isaacson 氏による伝記には、彼が執筆を引き受けることになった経緯も書かれているのですが、「自分には、隠し立てをすることは何もないし、書かれた内容について口出しをするもりは、一切無い」と ジョブズ 氏は話したと言います。病がかなり進行してからの事だったようです。

 自分の気持ちや感情を素直にオープンにすること。

 私たち日本人(特に男性)は、感情は抑えるべきものとして教わってきたし育てられてきました。それは、感情のままに行動すると周囲の人達と衝突するからですよね?

 でも、自分が気持ちをオープンにするということは、相手がオープンにしたときにそれを受けとめることができることだと考えると、一時的に波風が立つにせよ、人間関係が修復不能な状態にはならないはずです。

 日本にも「お互い様」という文化がありますが、そうした関係性が相手をリスペクトする、ということだと思うのです。

オープンさはブランディングになる

 Jobs 氏は、そうした人達に囲まれていたのかなと、ふと思った今年の Apple 社のイベントだったワケですが、もちろんこれは、会社のブランドイメージを高めるため戦略。

我がままがブランディングになる!

 でもこのことは、よく考えてみると、なにも大きな会社に与えられた特権ではなくて、個人事業者にも同じことができると思うワケです。

 最近は、個人でライティングや動画編集の仕事を請け負うなど、さまざまな分野でフリーランスが活躍しています。

 クラウドソーシングのサイトには、多くの人たちが登録していますが、「これこれのことができます」というカタログ的な自己紹介に終わっているか、私はこういう人間ですということを含めて発信しているかでは、とても大きな差があるように思うのです。

 その意味で、感情面(人間くささ)も含めて、「我がまま」をオープンにして発信することは、そのままブランディング(差別化)につながると、異文化スタイル的には思うワケですが、みなさんは、どう思われますか?

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