テレビ世代だからこそ知っておきたい『ライブ動画文化』

インスタグラムにもライブ配信機能が登場

 インスタグラムにライブ配信機能が盛り込まれるという発表には、「ん?」と思われた方が多いかも知れません。

 というのもインスタグラムは、今はフェイスブックの子会社になっていて、そのフェイスブック自身が、ライブ動画の活用を広めることにかなり力を入れているからです。

 でもそんな疑問は、素人視点だったと公式ビデオを見て気がつきました。このビデオは、「気軽にライブを使おう!」というお若い方向けのメッセージです。

 フェイスブックのユーザは、インスタグラムとの比較では年代が高めだということは、私も知っていました。

 ビッグデータをフル活用しているフェイスブックのことですから、それなりの読みと、それを裏付けるデータがあるからこそ、インスタグラムでの機能提供に踏み切ったはずです。

 念のために説明しておきますが、このビデオで紹介されているのは、1対1のテレビ電話のようなコミュニケーションではありません。映像を発信している相手は不特定(あるいはフォローしている人のみ)で、いわば放送と同じ状態です。

 送られてくる映像に対して、リアルタイムで反応できる。そんなやり取りを当たり前のこととして受け入れた世代は、私のようなテレビ世代との間には、大きな断層ができそうですよね?

 そしてこの「断層がある」という前提条件がないと、わかりあえることもわかりあえなくなる、私はそう考えています。
 

なぜ今、ライブ配信なのか?

 インターネットを通してライブ動画を配信するサービスを始めたのは、Ustream.tv (2007年に一般に解放)で、そのもとは、イラク戦争中に戦地の兵士たちが国の家族と会話をできるようにと作られた、コミュニケーションツールだったのだそうな。

 日本では、2008年12月にニコ生がサービスを一般ユーザに開放していますが、当時はまだパソコンからの放送のみで、かなりマニアックな趣だったようです。

 私もその頃に Ustream を見た記憶がありますが、「テレビ放送もどき」がインターネットにやってきた程度の印象しか得ることはできませんでした。また、コメントによるアラシが横行しているというハナシを耳にしてからは、「ライブ動画は、近寄らない方がいい場所」になってしまっていたというのが正直なところです(滝汗)。

 では、なぜこのタイミングで大手のSNSが、競うようにライブ動画配信サービスの提供を始めることになったのか?

 その最大の理由は、スマホの性能が劇的に向上したことと、それと同期するようにネット回線の容量が、十分になったからでしょう。

 また、これは別の視点からですが、発信する側が、不特定多数を相手にする「双方向の通信手段」との付き合いに慣れてきたことが大きいのではないかと、私は考えています。

 そしてその結果、発信する人を取り囲むようなコミュニティが生まれたことが、これまた大きい。テレビを見るようにライブ配信を 見ていたのでは、コミュニティは生まれませんから、ライブ動画を観る側も慣れてきたということになります。

ライブ動画はテレビに代わるものではない

スマホでライブ配信する女性

 私の失敗は、動画のライブ配信を始めて目にしたときに、それを「テレビ放送もどき」だと捉えてしまったことでした。これは多分、目にした番組が、視聴者とのやり取りには注意を払っていなかったせいも多分にあると思います。

実際、USTREAMでは、視聴者からのコメントができないようにする機能が提供されていたと聞いたことがあります。

個人が、テレビ番組を似たようなことをやろうとしても、できるわけがありません。

 でも、見に来てくれた人達と、その場でコミュニケーションするとなると、状況は一変します。ここから先は、私自身もPeriscope(Twitterのライブ配信機能)で発信して経験したことですが、視聴者からのコメントに注意して、ライブ中に丁寧に反応を返していると、すぐに常連さんができます。

 で、常連さんの一部の人達は、自分達もライブ配信しますので、私自身もその人達の常連になります。さらにもうひとつ。自分ではライブ発信しない観る側専門の人達も、同じような配信に集まりますので、コメントを通して良く会うようになります。

 こうして、「発信者同士」、「発信者と視聴者」、「視聴者同士」のいわば3層のコミュニティーが立体的にネット上に広がっていく、というワケです。

 このような顔の見えるコミュニケーションの場は、これまでにはなかったことです。しかも慣れてしまえば、一種独特の居場所感を感じることができる場所なのです。

自分がライブ配信するなんて、「とんでもない」と感じられているみなさん、ジェネレーションギャップというのは、こういう場所で生まれているのかも、知れませんよ。

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