◆ アメリカは、超学歴社会だった!
これからアメリカへの留学を希望されている皆さんの中には、「できればアメリカで就職して働いてみたい」と考えている方も多いと思います。
アメリカの大学は入り口は広いけど出口は狭く、とにかく勉強が大変ということは知っている方も多いと思いますが、ではそのままアメリカで就職となると、どうなのでしょうか?
日本は学歴社会の国だというイメージ、ありますよね?「イイ大学(つまりは偏差値が高い大学)を出ることが、大会社に就職する可能性を広げる」くらいの感覚は、誰でもお持ちだと思います。そういう意味では、確かに日本は学歴社会の国かも知れません。
アメリカの「学歴社会さ」は、日本とは比べものになりません。日本からでは、見えにくいだけなのです。
まず、アメリカ社会には、日本のような「初任給」という概念がありません。
日本では、四年制の大学を出て新卒採用されると、最初は全員同じ給与でスタートします。少なくともこの時点では偏差値が高い大学を卒業しているかどうかは関係ありません。一度は皆同じスタートラインに立って「用意ドン」です。
就職活動も似たようなモノですよね?例年、すったもんだはありますが、解禁日が決められていて、みんな一斉に用意ドンです(笑)。
このような日本の仕組みをアメリカ人に説明すると、ほとんどの人は驚きます。特に初任給については、「能力に差があるのに給与がいっしょでは不公平だ」という反応が返ってきます。まさに異文化です。
実はアメリカでは、日本のような新卒採用という概念すらありません。
なぜそうなるのかというと、人を雇うのは、会社ではなく部署だからです。採用を決めるのもその部署の責任者というのが通常で、空席ができるとその部署の判断で募集をするため、ある特定の時期に募集が始まるといった「全国共通のパターンのようなもの」はありません。
参考までに、アメリカの会社にも人事部(HR)がありますが、HRは会社全体の特に法務系の仕事をする部署で、そこで働いているのは弁護士資格を持っている人が多いようです。
◆ アメリカでは、専門性重視。
会社ではなく部署に雇われるという意味は、とても大きいです。
日本では、就職直後に待っているのは、その会社の一員としての自覚を持ってもらうための「研修期間」で、この時から社風を身につけ始めることになります。また、それぞれの部署に配属されていく同期の人達との一体感のようなものが生まれるのもこの時期でしょう。
アメリカでは、こうしたことはありませんから、「中途採用」という概念もありません。就職したらその日から即戦力として仕事を始める場合がほとんどだと思います。
大学側もこうしたアメリカ社会からの要請に応えるようなっているワケで、学ぶ内容も社会に出て役立つような実践的なことに重点が置かれているのは当然のこと。
なので就職の際には、大学での成績が大きくモノを言うのも日本とは異なる点だと思います。また四年制卒なのか修士卒なのかの差もとても大きいです。日本では、特に文化系の場合には、就職の際に修士卒であることはあまり大きな利点にはならない傾向があると思います。
そういう意味では、例えばIVYリーグのような有名校とそうではない学校の場合とでは、露骨なまでに有利さが異なるとも聞きます。
さてアメリカ企業が、外国人留学生を卒業後に雇用しようとする場合には、そのための手続きを政府(移民局)に対して行わなければなりません。
まずは会社側が、「これこれのポジションにこれこれの専門性を持ったこの人を雇用したい」といった申請をする(これが許可されないことには、雇用される本人によるビザの申請に進むことはできません)わけですが、ここで重要なのが「専門性」です。
アメリカ社会では、どの職種にはどのような専門知識が必要なのかの組み合わせがほぼ確定しています。わかりにくいかも知れませんが、逆の説明をするなら、日本のように、例えば文学部卒業で金融機関に就職するというのは、まずあり得ないということです。
いかがですか?なんだか日本とは全てが逆のように見えてきますね。
先ほど、アメリカには共通のパターンのようなものは無いと書きましたが、あるとするなら、インターンシップの使い方かもしれません。
日本でも最近はインターンを受け入れる会社が増えていると聞いていますが、アメリカの大学生は、3年ぐらいから始めることが多いようです。
大学のカリキュラムでも対応しているところが多いようですし、学生ビザのほうもちゃんと対応していて、条件付きではありますが、インターンとして働くことができるようになっています。インターンとして入った会社に、卒業後にそのまま雇用されるというのは、ひとつのパターンのようです。